Title: 鼻濁音について(長いです)
Name: kosako
Date: 2004/1/11(Sun) 10:33
CommentID: 19514
Message: そうそう、日本全体でいえば半分近くが「無・鼻濁音」地域です。また日本語の歴史を考えると、この先おそらく鼻濁音は消えていく可能性が高い(かつてはダ行やザ行も鼻濁音だったが無くなった、西日本では室町時代には既に鼻濁音が消滅していたこと等が理由です)。 鼻濁音が気になると上で書かれた方たちは東京近郊のご出身のようですね。だからたぶん鼻濁音を使わない人に生理的違和感を感じるのだろうし、感覚的に標準語=共通語という認識があるのでしょう。鼻濁音は守っていかねばという立場の言語学者が決まって関東以北出身者であること、NHKへの「鼻濁音がなってない」という苦情のほとんどが東北からの電話であること(たとえば山形弁は鼻濁音が無ければ成り立たない)、など地域による意識の違いは私にはむしろ興味の対象になります。転勤族の子どもでいろんな地域のことばと生で触れ合う機会が多かったからかもしれません。共通語を使うときに垣間見える、訛りというほどでもない微妙なイントネーションの違い・発音の違いなどは、私にはその人らしさがほの見えて楽しいと感じられます。熟練の俳優さんでも東京出身でヒとシの区別がなんとも微妙な人、いますよね。
たぶん言語にそれほど興味のなかった人たちが鼻濁音を意識したのは、今の皇后陛下の最初の記者会見を聞いた高名な学者が「鼻濁音が使えないのはいかがなものか」と言ったこと、次の記者会見では美智子さんが完璧に鼻濁音をマスターしてそれがまた大きな話題になったことからでしょう。 私自身は西日本出身なのでたぶん鼻濁音無しで話しています。でも声楽や演劇のレッスンで注意を受けたことは無いので、そこそこの発声法をマスターしていれば、耳障りではないガ行の発音にはなるのかなと感じています。鼻濁音が使えないことで有名なNHKのアイドルアナウンサー(今は正職員ではありませんが)はしゃべり方自体が平べったいですよね。養成段階で彼女の場合は発声には重きを置かれなかったらしいですが。そういえばNHKのアナウンサー養成でも最近は鼻濁音をうるさく言わないようです。またマイクを持って現場から話をする記者さんたち、彼らは話す訓練はまったく受けていません。
夫も北関東の鼻濁音が存在しない地域の出身なので、我が家の子どもたちはたぶんあまり鼻濁音を使わないでしょう。 不快に感じる人たちがたくさんいるのに矯正しないのか、というご意見もあるかもしれませんが、鼻濁音を使わないことがはしたない発音に聞こえる人たちと数ではさほど変わらないほど、鼻濁音を使うことがなんとなく歯切れが悪く鈍重、もったいぶった感じに聞こえる人がいることを、無意識に「東京発」「東京標準」の視点になる方には知っておいていただけたらと思います。違いは必ずしも間違いではない。 というわけで、我が家的には鼻濁音はオプション扱いです。日本語の特色の一つとして教えるつもりではありますが。
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